潮来市コンプライアンス検証委員会
このページは、平成27年9月29日に、潮来市コンプライアンス検証委員会(委員長 湊 弘美)が潮来市長に提出した「潮来市コンプライアンス委員会検証委員会調査結果報告書」の概要です。
1 調査の目的・内容
平成27年4月21日、潮来市長から、潮来市における4つの調査項目(随意契約・専決処分、公有地売却、ふるさと館売却、市長選挙)について、潮来市コンプライアンス検証委員会が諮問を受けました。
2 4つの調査項目の内容
4つの調査項目と主な調査内容は次のとおりです。
(1) 随意契約・専決処分 東日本大震災以後の随意契約・専決処分
(2) 公有地売却 平成23年に潮来市牛堀字大山崎705番地2他6筆、面積3,997m2を売却した事案
(3) ふるさと館売却 平成23年にふるさと館を解体処分した手続きについて
(4) 市長選挙 平成27年2月8日投票の市長選挙に関し、平成27年3月議会における一般質問および選挙前の後援会申入書
3 調査期間・経緯
平成27年4月21日~平成27年9月29日
平成27年7月29日 潮来市コンプライアンス検証委員会は中間答申を提出
平成27年9月29日 潮来市コンプライアンス検証委員会は最終答申を提出(調査終了)
4 調査方法
文書収集、聞き取り調査、関係機関調査を行いました。
5 調査経緯
平成27年
期 日 | 項 目 | 内 容 | ||||
4月21日 | 委員会 |
第1回潮来市コンプライアンス検証委員会 審議事項:調査内容の絞り込み |
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5月 1日 | 文書調査 | 市役所内の関係課に資料提供依頼 | ||||
5月27日 | 委員会 |
第2回潮来市コンプライアンス検証委員会 審議事項:資料に基づき論点整理 |
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6月16日 | 不動産再鑑定調査 | |||||
6月19日 | 関係機関の調査 | |||||
6月23日 | 聞き取り調査 | 市役所内の関係職員により聞き取り調査 | ||||
7月 2日 | 委員会 |
第3回潮来市コンプライアンス検証委員会 審議事項:資料に基づき法的な検証 |
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7月16日 | 聞き取り調査 | 市役所内の関係職員より聞き取り調査 | ||||
7月21日~ | 市職員の自主申告による情報収集 | |||||
7月24日 | 委員会 |
第4回潮来市コンプライアンス検証委員会 審議事項:中間答申案の協議その他 |
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7月24日 |
中間答申 (市長より議会へ報告) |
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7月29日 | 市長より記者発表 | |||||
8月 6日 | 市長より記者発表 | |||||
8月27日 | 委員会 |
第5回潮来市コンプライアンス検証委員会 審議事項:資料に基づき法的な検証、その他 |
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9月 4日 | 聞き取り調査 | 市役所内の関係職員より聞き取り調査 | ||||
9月 8日 | 聞き取り調査 | 市役所内の関係職員より聞き取り調査 | ||||
9月17日 | 聞き取り調査 | 市役所内の関係職員より聞き取り調査 | ||||
9月18日 | 聞き取り調査 |
市役所内の関係職員より聞き取り調査 その他関係者より聞き取り調査 |
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9月24日 | 聞き取り調査 | 市役所内の関係職員より聞き取り調査 | ||||
9月25日 | 委員会 |
第6回潮来市コンプライアンス検証委員会 審議事項:最終答申案、その他 |
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9月29日 | 委員会 |
第7回潮来市コンプライアンス検証委員会 審議事項:最終答申案 その他 |
5 潮来市コンプライアンス検証委員会
委員長 湊 弘美(弁護士)
委 員 小栗 孝雄(公認会計士・税理士)
委 員 鈴木 伸洋(司法書士・行政書士)
委 員 志村 俊夫(元市役所職員)
特別委員 清水 勉(弁護士)
6 答申報告書(抜粋)
(1) 随意契約・専決処分(東日本大震災以後の随意契約・専決処分)
随意契約については、地方自治法第234条(契約)及び地方自治法施行令第167条の2(随意契約)の規定に照らし、法律上は違法のものもあるが、判例から違法とまでは言えないものが混在する。しかし、潮来市財務規則第135条に照らし2者以上から見積もりを徴取する規定には、違反している。
専決処分については、地方自治法第179条第1項の規定により、本来議会において議決を得るべき事案について、例外的に首長に与えた権限であるとの認識のもと、潮来市において条例等の専決処分は、地方自治法の「議会を開く時間的余裕がない」規定に照らして、合法であり一般的に他自治体と同様の手続きにより適切と判断した。
他方、補正予算の専決処分については、平成25年2月1日の補正予算・平成24年7月2日の補正予算・平成26年3月31日の補正予算について詳しく調査した。その結果、平成25年2月1日の補正予算の専決処分については、違法である。
違法性については、まず事案として当該潮来市の年間予算に匹敵する多額(約109億円)の補正予算であることから、そもそも専決処分できる事案ではない。さらに専決処分後の予算執行が一部は同年12月に遅れていて緊急性が一部認められない。専決処分前に「時間的余裕がない」との臨時議会を召集できない客観的理由が見当たらない。
(2) 公有地売却(平成23年に潮来市牛堀字大山崎705番地2他6筆、面積3,997m2を売却した事案)
潮来市牛堀字大山崎705番2他6筆3997m2を1,300万円で売却した行為について検証した結果、売却手続きについては、関係法令等検証した結果、価格決定手続きについて、地方自治法第 条においては原則、公売手続きによることとされている。
さらに、潮来市公有地売払い要綱においても、原則公売とされているにも拘らず、価格決定の手続きが不明確であり、これらの法の趣旨に照らして、不適切な手続きである。
売却価格については、再鑑定の調査を実施したところ、約2割程度、低価格で売買されたことになるが、不動産価格は様々な要因により変動がある。しかし、事業者が3,000万円で購入しようと用地を探していたところ、結果的に1,300万円で売却になった点は指摘せざるを得ない。
また、議会答弁において不動産鑑定額を売払い価格とし、公売しないことの理由にするのは、不適切である。不動産鑑定額は最低価格を定める程度のものと認識すべきである。
(3) ふるさと館売却(平成23年にふるさと館を解体処分した手続きについて)
ふるさと館(所在:潮来市潮来5006番地)の解体処分手続きについては、処分に制限のある市の行政財産のまま解体処分したことは、地方自治法第237条第2項に照らして違法である。
さらに、地方自治法第244条(公の施設)及び同法244条の2(公の施設の設置、管理及び廃止)に基づく、公の施設の設置管理条例について、議会の承認する以前に解体したことは違法である。
ふるさと館が取得価格1億6,700万円残存期間10年間であること、平成23年度の予算措置が取られており、継続利用する行政財産あり、解体処分については、慎重な検討が必要と考えられるところ、充分な検討することなく解体処分が行われていることについては地方自治法第238条の4(行政財産の管理及び処分)違反となる。
ふるさと館の備品について、処分及び管理については、地方自治法第239条(物品)及び潮来市財務規則に照らし、違法でありかつ管理がずさんと言わざるを得ない。
(4) 市長選挙(平成27年2月8日投票の市長選挙に関し平成27年3月議会における一般質問及び選挙前の後援会申入書)
平成27年2月8日執行の潮来市長選挙に関連して、公務員の地位利用による選挙運動は公職選挙法違反であるが、当該選挙において、消防団や区長の地位利用が議会で問題とされた。
潮来市選挙管理委員会が対応した、後援会の申入れ書に対する行政手続きについては、公職選挙法第1条(この法律の目的)に照らして不適切である。
当該選挙について1月29日当時において、潮来市選挙管理委員会に申立てがあった転入の疑義については、転入の事実は確認されたが、住民基本台帳法第22条及び公職選挙法第23条第2項(詐偽登録、虚偽宣言罪等)に抵触するかについては、引き続き市当局及び選挙管理委員会において調査を委ねる。
選挙管理委員会は、不正転入については、調査権があり判例においても最高裁において選挙結果が無効とされた判例があり、直ちに調査の必要があった。それを怠った、選挙管理委員会書記は、公職選挙法の主旨に照らし不適切な対応であったと言わざるを得ない。
6 調査結果に共通する背景・今後の法令順守について
(1)前市長の政治体制と市役所幹部の関与
ふるさと館解体処分における議会軽視の手続きや公有地売却の手続きなどから前市長の強行な政治姿勢がうかがわれる。過去の議会の一般質問において、長文朗読により故意に議員質問時間を削減する答弁について、答弁した課長は問題があると認識しながらも、市長・副市長及び幹部等からの指示によりやらざるを得ない状況を作られていた。その他、専決処分・市長選挙すべての問題について、根底に同じような強行的な政治手法の問題が内在していた。法手続きを無視した判断など、理解しがたい部分が多く見られた。
(2)今後の法廷順守について
(自治体における首長のあり方)
自治体、特に小規模の市町村において、首長権限は非常に大きいものである。その権限の大きさを再認識し、議会や監査委員など牽制機関の指摘を謙虚に受け止め、さらに苦言のような市民の声にも真摯に耳を傾け、謙虚で誠実な市政運営の継続を市民は望んでいる。
(市役所幹部職員へ求められるもの)
一部職員において、震災時の繁忙さを理由として、法的な判断基準をなくすような事態になったと反省し、今後は法的な判断を常に考え行動する。プロの行政マンとしての自覚を持ち、市長のためではなく市民のために、法的知識や法的判断を貫く姿勢が求められている。
(組織のあり方)
(1) 選挙管理委員会の独立性の確保
選挙管理委員会は、特に民主主義の原点であることから、市民の信頼回復は必要不可欠である。このため、職員の単なる研修にとどまらず、独立性確保の観点から組織再編も検討すべきである。
(2) 監査委員の牽制作用の重要性
公有財産や備品管理については、監査において充分な牽制が必要であることから監査事務局の強化や内部監査室の設置など今後の課題として検討していただきたい。
(3) その他
「潮来市コンプライアンスの推進に関する規程」が平成24年に策定されているが、 会議の開催など活動がまったく見られない。今後は、これらの規程や法令に基づき、常に法令順守について点検をし、公益通報者保護法の有効活用など、職員全体にこの思考を早急に根付かせる必要性がある。
【参考】
「潮来市コンプライアンスの推進に関する規程」(平成24年2月策定)
「潮来市パブリックコメント手続き関する要綱」(平成29年3月策定)
関連ファイルダウンロード
- 潮来市職員等公益通報に関する要綱PDF形式/259.57KB
- 潮来市準公金取扱要綱PDF形式/232.17KB
- 潮来市コンプライアンスの推進に関する規程PDF形式/122.61KB
- 潮来市パブリックコメント手続に関する要綱PDF形式/146.24KB

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- 2018年11月29日
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