○潮来市土採取事業規制条例指導要綱
平成4年5月1日
要綱第3号
(注) 令和3年3月から改正経過を注記した。
1 土採取事業の意義
一般的に土採取事業という場合には,一定の利用目的をもって土を掘削し,これを外に移動する事業を意味する。潮来市土採取事業規制条例(昭和59年条例第16号。以下「条例」という。)は,土採取事業について必要な規制を行うことにより,土採取事業に伴う災害を未然に防止するとともに,採取跡地の緑化等による適正な整備を図ることによって自然環境の保全と住民の福祉の増進に寄与することにある。この目的に照らしあわせて「採取」という語句及び「採取場の面積,土の量」にとらわれず,単なる土の掘削又は切取り等であってもこれが災害発生等につながるものと一般的に認められる場合は,この条例が当然適用されるものである。
2 自然環境の保全
3 適用事業
条例の適用範囲は,土を採取する一団の土地(土の採取場)の面積が1,000m2以上又は採取する土の量が2,000m3以上について適用するが,土採取事業の意義の中でも述べたように,目的に照らしあわせ,単に土の掘削又は切取り等をする場合であってもこれが災害発生時につながると一般的に認められている場合,更に採取する目的が※物理的一体性,※計画的一貫性,※主体の統一性を持つものであれば当然適用される。
4 適用除外について
条例において適用除外となるのは,各種根拠法令等に基づいて行われる直接の行為又は工事に限られるが,根拠法令に基づく場合でも当該行為又は工事に必要な「土」を確保するため,別の場所で土採取を行う行為は,適用除外にはならない。
5 土採取事業を行う者の責務
土採取事業を行う者は,土採取事業に伴う災害を防止するために防災計画をその地形,その他周辺の状況を十分に調査の上,計画排水量(降雨強度式水戸式を使用)の算出により調整池及び堰堤を講ずること。また,排水等を放流する場所が,水路・河川・湖沼である場合は,その利害を関係する法人・団体等と事前に協議すること。
(令3告示46・一部改正)
6 土地所有者の責務
(令3告示46・一部改正)
7 採取計画の申請
土採取を行う者の採取計画の申請は,土採取事業の請負契約の発注者又は請負契約によらないで自ら土採取事業を行う者が行い,土採取事業に着手する日の30日前までに採取場ごとに規則で定める書類及び図面を提出しなければならない。
(1) 土採取事業の期間
土採取事業の申請書の記載事項の中に採取期間の定めがあるが,土量と採取場所及び搬路との密接な関係があるため,慎重に対処しなければならない。土量と採取場所からの期間設定,搬路での諸条件(農繁期中,祭事中その他)による期間の設定,その他諸条件による期間の設定等それぞれの条件を勘案し期間を定めるものとし,最高で3年を期間と定めるものとする。
(2) 土の採取場(以下「採取場」という)の位置を示した縮尺50,000分の1の位置図。ただし,50,000分の1の位置図がない場合には,5,000分の1の位置図でもよい。
(3) 採取場及びその周辺の状況を示した縮尺1,000分の1の区域図。ただし,区域全体の必要性が可能である場合は,500分の1の区域図でもよい。区域図の必要性は,地形その他の諸条件を把握するため重要なものなので,区域外であっても影響する範囲については,測量の範囲を拡大する。
(4) 採取場から国道又は県道までの間の通路状況を示した縮尺1,000分の1以下の図面。この図面は,通路がもっぱら土採取事業の搬路として使用される場合,道路機能及び構造・空間的秩序に支障を及ぼさないか,あわせて緊急時での対応その他の諸問題を把握するために重要な図面として使用されるものなので,たとえ国・県道までの距離が遠距離であっても縮尺は1,000分の1を超えるものは,使用してはならない。以上,道路管理上様式第2号を提出すること。
(5) 採取場の土地の縮小1,000分の1以下の平面計画図
(6) 採取場の土地の縮小1,000分の1以下の縦断計画図及び縮尺500分の1以下の横断計画図を記載したもの
(5),(6)いずれも採取跡地等状況把握に欠かせない図面なので,最低基準を設け,これらを超えるような図面を使用してはならない。
(7) 採取場及びこれに隣接する土地の公図写若しくは宝典
(8) 採取場及びこれに隣接する土地所有者の登記簿の謄本
(7),(8)について係る土地を把握するため,土地目録書を様式第3号に従い提出すること。
(9) 採取場に隣接する土地所有者及び住民の同意書
隣接所有者からの同意書については,その範囲について疑問をもつところであるが,隣地に市道があり,その付近に人家があったような場合の同意書を必要とする範囲は,まず道路の管理者からの同意書を,更にその付近にある人家に対する影響が一般的にみて考えられる場合は,その影響の範囲の同意書,様式第4号を添付させる。影響範囲が広範囲の場合は,地元区長及び市長が必要と認める同意書を添付させる。
(令3告示46・一部改正)
8 土採取事業の申請等を許可する場合の留意事項
(1) 土採取事業の申請があった場合には,申請者が土の採取を行う土地について,権利関係の調整を完了しているか事情を聴き,土地所有者,地元住民との調整あるいは他法令による許認可等を必要とする事項の場合は,当該処分を受けているか,又は受ける見込みがあることを書面その他によって確認するものとする。更に周辺に影響を及ぼすような要因がないかどうか,特に自然環境保全の見地により十分に事情を申請者より聴取していく。
(2) 土の採取を行う土地についての権利関係についても,また,隣接土地所有者以外でもこの条例の目的を達成するため必要と認められる場合は,同意書を添付させる。更に大規模に行う土採取事業については,協定書により密な配慮をした事項を定めていくものとする。
(3) 土採取事業申請書等の各書類の審査は,設計基準及び様式第5号により行うものとする。
(令3告示46・一部改正)
9 措置命令について
(1) 措置命令
① 基準
土採取事業に起因して,土砂の崩壊及び粉じんの発生のおそれのあるときに,その緊急性,周辺の状況に応じて発動するものとする。
② 命ずる内容
期限を付して,土の採取に伴う災害防止のため,必要な措置を命ずること。
(2) 停止命令
① 対象
ア 措置命令に違反して,土の採取を行っている土採取事業の事業主又は請負人
イ 未申請で土の採取を行っている土採取事業の事業主又は請負人
ウ 申請内容に違反した土採取事業の事業主又は請負人
② 命ずる内容
ア 土採取事業を停止すること。
イ 土採取事業を一時停止し,措置命令を履行すること。
ウ 土採取事業を一時停止し,採取計画を申請させること。
(3) 緊急措置命令
① 対象
ア 土採取事業の事業主,請負人又は現場責任者
② 命ずる内容
ア 土採取事業を一時停止し,災害防止のための必要な措置をとること。
(4) 採取後の措置命令
① 対象
ア 土採取事業の完了届を提出した者
② 命ずる内容
採取跡地が荒廃したまま放置されている場合であって,災害防止,周辺の環境保全等の状況を総合的に判断し,跡地の処理を必要とする場合で,次のことを命ずるものとする。
ア 必要な防災措置を取ること。
イ 緑化をすること。
(令3告示46・一部改正)
10 標識の掲示
標識の材質について,脚の材料は杉角材(2寸5分)を使用。板材はベニヤ合板を使用し,平トタンに白ペンキを塗った下地に黒で枠をとり黒で記載する。
11 立入検査
立入りの検査を行う場合,土採取が適正に行われているか,様式第6号により確認し,この目的達成のため,必要に応じ資料の提出,必要事項の報告を求める。
12 土採取事業の申請書の許可について
(1) 申請書の許可については,その書類及び図面,その他案件について各関係機関と調整会議及び審査会を開き,意見を十分検討した上で許可していく。
(2) 過去に許可をした採取計画について,採取が完了する前に,新たな申請をしてきたものについては,当該採取が完了しているものであること。
(令3告示46・一部改正)
13 土採取事業区域内に存する国有財産等の取扱いについて
市道,農道,水路,ため池その他の国有財産について,各関係機関と事前協議した後,協議会を開きその処置をしていく。
14 条例施行前に既に完了している土採取事業について
15 設計資格者の実務経験
実務経験の証明については,様式第7号により提出するものとする。
16 優先発注等について
土採取事業に伴う採取計画書の測量設計委託については,潮来市に事務所を有する業者に対し,優先的に配慮を行うものとする。
17 設計資格者の責務
採取計画書の作成を行う設計資格者は,設計図書の適正さはもちろん,設計図書に基づいて適格にその事業が行われているかを現場等の指導監督を含めて行うこと。
18 用語の意味
① 土を採取する一団の土地とは,物理的一体性,計画的一貫性,主体の統一性を持つもので,これを採取場という。
② 物理的一体性とは,採取しようとする土地がその目的のために一体の土地として現に構成しているものをいう。
③ 計画的に一貫性とは,採取しようとする土地として供する可能な土地を含めた土地をいう。
④ 主体の統一性とは,採取目的とする土地があらかじめ位置付けがなされている状態を主体的に確認するものをいう。
19 土採取事業指導技術基準
(1) 掘削については,①の図解による採取工法によるものとする。
(2) 最終法面は,②③の図解のように仕上げること。
① 採取工法
条例が土の採取に伴う土砂の流出等の災害防止を主眼としていることから,採取途中の災害防止に努めるものとし,極力「切り下げ方式」を採用すること。
階段式工法 | 傾斜式工法 | 平面式工法 |
② 別表
土質及び切土高に応じ,次に示す角度以下とすること。
土質 | 切土高5メートル以上の場合 | 切土高5メートル以下の場合 |
軟岩(風化の著しいものを除く。) | 40~60度 | 50~70度 |
風化の著しいもの | 35~40度 | 45~50度 |
砂利,真砂土,粘土 その他これに類するもの | 30~35度 | 30~45度 |
③ 斜面の保護工法
1 張筋工,筋芝工,植生盤等・・・・小段肩に使用
2 種まき工
チカオシバ,カゼグサ,エノコログサ,コマツナギ,メドハギ,ヤマハギ,アカマツ,クロマツ,オヒジワ,メヒジワ,ヨモギ,センダイハギ,クローバー,クヌギ,その他の種子を肥土と混ぜてまく。
3 吹付工
オヒジワ,メヒジワ,ヨモギ,センダイハギ,クローバー,その他の種子を肥土と混ぜて吹き付ける。
4 植生盤貼付工
5 岩盤法面には,蔦,つき等つる性の植物を植栽すること。
6 植栽樹種
乾燥に強く土壌の緊縛力が強く,気候,風土にマッチして成育するもの
クヌギ,サクラ,ウバメガシ,クロマツ,アカマツ,ハンノキ属(ヤシ,ヒメヤブヤブシ,ヤマハンノキ)ニセアカシア,ネムノキ・・・・暖地
イタチハギ,ハギ,エニシダ,ハコネウツギ,アキグミ,その他・・・・潅木につき喬木と混植
(3) 保安距離
採取場とその隣接地との間には,次に掲げる保安距離が取られていること。ただし,法令その他により,この要綱に定める保安距離以上の定めがある場合は,その規定によること。
① 隣接地に宅地,国道,県道,市道,認定外道路並びに鉄道及び鉄塔の敷地がある場合
5メートル以上
② 隣接地に建築物がある場合
当該建築物の軒下から10メートル以上
③ その他の場合
2メートル以上
附則
この要綱は,公布の日から施行する。
附則(平成13年4月1日告示第54号)
(施行期日)
1 この告示は,平成13年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この告示の施行の際,現に着手している土採取事業については,当分の間従前の例による。
附則(令和3年3月31日告示第46号)
この告示は,令和3年4月1日から施行する。
別図
防護断面図(有刺鉄線の場合)
丁張図
様式第1号 削除
(令3告示46・一部改正)